クライミングと肩の痛みの話。

ライミングをして肩を痛める方多いと思います。

私自身も痛めた経験があります。

 

ライミングによる肩の損傷について知る前に、まずは少し肩関節ついて知って、予防やリハビリに役立てばと思います。

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これから記事を簡単に説明すると、

肩関節は独特な構造をしている+肩の動きにはいろんな筋肉や骨が関係している→めっちゃ動く=痛めやすい。

こんな感じです。

それを少し難しく、それっぽく書いていきます。

肩関節の動きはとても複雑にできているのでちょっと長くなります。

 

 目次

 

  肩関節の特徴

  • 関節を構成している上腕骨の骨頭に対して受け皿である肩甲骨の関節窩が極端に浅い
  • 関節にかかわる筋肉が多く、その筋に関節の安定を依存している
  • 関節を包む袋(関節包)や関節を補強する靭帯に緩みがある
  • 体の表面上に突出していて外からの影響を受けやすい

これらの特徴は、肩関節が他の関節と比べ可動域が広い理由となります。

また、肩関節の可動には肩甲骨鎖骨の可動も関係しており、これによりさらに可動域が広がっています。

この肩甲骨と鎖骨の関係性を上肢帯と呼び、肩の動きにはなくてはならない存在です。

 

上腕骨と肩甲骨の関係

 通常、肩関節の運動には”肩甲上腕リズム”というものが存在しており、上腕骨が60°以上屈曲(バンザイをする動作)、または、30°以上外転(腕を横に広げる動作)すると、後を追うように肩甲骨も動いていきます。

細かい話をすると、屈曲60°や外転30°からさらに肩を動かす時に上腕骨が2°動いて肩甲骨が1°の計3°動くようになります。(2:1の割合)つまり、肩甲骨の動きが鈍ると上腕骨の動きに制限がかかり肩関節の可動域が狭まります。

事実、肩を痛めている方の多くはこの肩甲上腕リズムの可動比率(通常2:1)に異常が出ています。

肩関節と鎖骨の関係

 鎖骨には胸鎖関節と肩鎖関節の二つの関節があり、肩関節の動きとともに前方、後方、上方、前方回転など伴います。

見落とされがちですが、この鎖骨の動きが制限されても肩関節可動域の制限つながってしまいます。

肩の動きにかかわる筋肉

肩の動きには様々な筋肉が関わります。

三角筋僧帽筋、広背筋、大円筋などなど、例を挙げるときりがありません。

そこで今回は、クライミング中に痛めやすい筋肉と、見落としがちだけど実はとても重要っていう筋肉に重点を当てていきます。

回旋腱板(ローテーターカフ)

肩関節には回旋腱板と呼ばれるインナーマッスルが存在します。
棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋
これらの四つは肩関節を動かす際に上腕骨が肩甲骨から引き離されないように働きます。
例えば、腕を横に広げる動作(外転)を行います。
この動作ではまず棘上筋が働いて上腕骨と肩甲骨を固定し、腕をわずかに広げます。その後、三角筋などが働き腕は広がっていきます。
棘上筋がなく三角筋のみの作用だと単純に上腕骨を上方に持ち上げるだけになってしまいます。
肩関節の運動において「上腕骨と肩甲骨を固定させる」これがかなり重要となります。

さらに、この棘上筋は座っている時や、歩行している時など肩を動かしていない時も常に腕の重さにより引っ張られて負荷がかかっている状態です。 

ストレッチや運動もせず40年~50年間も負荷をかけ続ければ当然痛めてしまいますよね。ってことで四十肩・五十肩の原因になりやすいとされている筋肉です。

f:id:thirteen-k346:20190329140431j:plain青い矢印三角筋の力が働く向き赤い矢印が棘上筋の力が働く向き黄の矢印三角筋と棘上筋が同時に働いた時の力の向きになっています。

・前鋸筋

前鋸筋は第1~第8肋骨から始まり、肩甲骨内側縁に付着する筋肉です。

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主な作用として、左右の肩甲骨間を広げる(肩甲骨外転)、肩甲骨を上方に回旋させることです。

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肩甲骨外転(写真左)/ 肩甲骨上方回旋(写真右)

 

 この前鋸筋は肩甲上腕リズムの際に肩甲骨を動かす重要な筋肉の一つになっており、肩を動かしたときに痛みが出たり、可動域の制限を感じた時などこの筋肉がうまく機能してないケースがあります。

 原因としては、この筋肉自体を痛めているというよりも、肩関節の他の部位を痛めることにより、筋性防御反応が働き、前鋸筋が緊張してしまうことにあると思われます。

・大円筋と広背筋

 大円筋は肩甲骨の下角というところから始まり、上腕骨の小結節という突起に付着しています。

広背筋の起始部はその名前の通り広く、第七胸椎より下の胸腰椎の棘突起・下位肋骨・腸骨稜から始まり、大円筋と同じ上腕骨小結節に付着します。

この大円筋と広背筋は肩関節において同じ作用を持っており、腕を後ろに伸ばす動作(伸展)、脇を閉じる動作(内転)、そして内旋を行う筋肉です。

f:id:thirteen-k346:20190709093456j:plain肩関節内旋

 この二つの筋肉は主に懸垂運動などの時にその力を発揮します。

ライミング中だと、体をロックしてスタティックなムーブで作用する筋肉です。

つまり腕を上にあげる動作とは逆に腕を閉じる、または、肩の動きを制御する筋肉というわけです。

これらの筋肉の柔軟性が低下や過緊張を起こすと、肩関節の屈曲や外転などの動作の妨げになってしまいます。

菱形筋

肩甲骨の内転や下方回旋、肩甲骨の挙上に関与する筋肉です。前鋸筋の逆の作用がある(拮抗筋)と思ってもらえればオッケーです。当然菱形筋の柔軟性の低下などにより肩の屈曲外転などの制限が起こります。

 大円筋、広背筋の作用を最大限引き出すためにこの筋肉はとても重要です。

懸垂をするとき、菱形筋で肩甲骨を内転状態で固定→大円筋・広背筋で体を引き上げるっていう流れです。

 

最低限知っておいたほうが役に立つ筋肉は以上です。

 

 

まとめ

  • 肩を動かす時、肩甲骨や鎖骨の協力があるからめっちゃ動く。
  • 肩を動かす筋肉だけでなく、上肢帯(肩甲骨・鎖骨)を動かす筋肉、肩の動きを制御する筋肉も大事。

 

ちょっと長くなってしまったので今回はこれで終わりにします。

次は、クライミング中に肩を痛めてしまう動作について書こうかなと思います。

では。

 

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